1. 扶養家族欄とは?企業が確認する理由
履歴書の扶養家族欄は、あなたが経済的に養っている家族の人数を申告する欄です。JIS規格に準じた一般的な履歴書では、「扶養家族数(配偶者を除く)」「配偶者の有無」「配偶者の扶養義務の有無」の3項目で構成されています。
企業がこの欄を設けている理由は、主に次の3つです。
- 社会保険の手続きのため:入社時に健康保険・厚生年金の加入手続きを行う際、被扶養者の人数が必要になります
- 所得税の計算のため:扶養親族の人数によって源泉徴収する所得税額が変わります
- 家族手当・扶養手当の支給判断のため:家族手当を支給する企業では、支給額の見積もりに使われます。厚生労働省の調査では家族手当がある企業の配偶者への支給額は平均で月約1万円、子ども1人あたり月約3,000円〜1万円が目安です
つまり扶養家族欄は入社後の事務手続きのための情報であり、「扶養家族が多いから不利」「独身だから有利」といった合否への影響は基本的にありません。正直に、正確に書くことがすべてです。
2. 「扶養家族数(配偶者を除く)」の数え方
最も迷いやすいのが扶養家族の人数です。ここでの「扶養家族」は、原則として健康保険(社会保険)上の被扶養者を指します。生活費を主にあなたの収入で支えている家族のうち、配偶者を除いた人数を記入します。
2.1 扶養家族に数える人の条件
健康保険の被扶養者になれるのは、主に次の条件を満たす家族です。
- 年収130万円未満であること(60歳以上または障害のある方は180万円未満、19歳以上23歳未満の家族は150万円未満)
- 同居の場合:年収があなたの収入の半分未満であること
- 別居の場合:年収があなたからの仕送り額より少ないこと
- 三親等内の親族であること(子・親・祖父母・兄弟姉妹など。父母・祖父母・兄弟姉妹以外は同居が条件)
具体的には、収入のない(少ない)子ども、定年後に年金だけで暮らす親、あなたの仕送りで生活する別居の母親などが該当します。
2.2 数え方の具体例
例えば「共働きの妻と、小学生の子ども2人(あなたの健康保険の扶養に入っている)」の場合、扶養家族数は「2人」です。妻は配偶者なので人数に含めず、子ども2人だけを数えます。
「専業主婦の妻と子ども1人」なら、扶養家族数は「1人」(子どものみ)。妻は配偶者欄で申告するため、ここには含めません。「配偶者を除く」という注意書きを見落として配偶者を人数に入れてしまうのが、最も多い間違いです。
2.3 アルバイト収入のある家族はどうする?
大学生の子どもにアルバイト収入がある場合でも、年収150万円未満(19歳以上23歳未満の場合)であれば扶養家族に数えられます。高校生以下の子どもは収入がなければ当然カウントします。なお「16歳未満の子どもは税金の扶養控除の対象外」ですが、健康保険上は被扶養者なので、履歴書では年齢に関係なく人数に含めて問題ありません。
2.4 別居の親を扶養している場合
地方の実家に住む親へ毎月仕送りをしているケースもよくあります。別居の親を扶養家族に数えられるのは、次の2つを両方満たす場合です。
- 親の年収が130万円未満(60歳以上または障害のある方は180万円未満)であること
- 親の年収があなたからの仕送り額より少ないこと
例えば、母親の年金収入が年70万円で、あなたが毎月7万円(年84万円)を仕送りしている場合は、収入が仕送り額を下回るため扶養家族に数えられます。逆に、仕送りが年50万円しかなければ条件を満たしません。健康保険組合によっては仕送りの振込記録などの証明を求められるため、手渡しではなく銀行振込にしておくと入社後の手続きがスムーズです。
3. 「配偶者」「配偶者の扶養義務」欄の書き方
配偶者に関する2つの項目は、次のルールで丸をつけます。
3.1 配偶者の有無
婚姻届を出している夫または妻がいれば「有」、独身なら「無」に丸をつけます。婚約中はまだ「無」です。事実婚の場合は健康保険上は被扶養者になれるケースがありますが、履歴書では「無」とし、必要に応じて入社後の手続きで申告するのが一般的です。
3.2 配偶者の扶養義務
「配偶者の扶養義務」は、配偶者をあなたの健康保険の扶養に入れているか(入れる予定か)という意味です。判断基準は次のとおりです。
- 配偶者が専業主婦(主夫)、または年収130万円未満のパート勤務 → 「有」
- 配偶者がフルタイム勤務などで自分の勤務先の社会保険に加入している → 「無」
- 独身の場合 → 「無」(配偶者自体がいないため)
なお、配偶者のパート先の規模によっては年収106万円程度から勤務先の社会保険に加入する場合があります。その場合、あなたの扶養からは外れるため「無」になります。迷ったら「配偶者が自分自身で健康保険証を持っているか(勤務先の保険に入っているか)」で判断すると確実です。
4. ケース別の記入例7パターン
代表的な7つのケースについて、3項目の書き方を一覧にまとめました。自分の状況に近いものをそのまま参考にしてください。
| ケース | 扶養家族数 | 配偶者 | 扶養義務 |
|---|---|---|---|
| 独身・一人暮らし | 0人 | 無 | 無 |
| 独身・年金暮らしの母を扶養 | 1人 | 無 | 無 |
| 共働き・子どもなし | 0人 | 有 | 無 |
| 共働き・子ども2人を自分の扶養に | 2人 | 有 | 無 |
| 配偶者が専業主婦(夫)・子ども1人 | 1人 | 有 | 有 |
| 共働き・子どもは配偶者の扶養 | 0人 | 有 | 無 |
| 離婚後、子ども1人を扶養 | 1人 | 無 | 無 |
ポイントは2つです。第一に、配偶者は人数に絶対に含めないこと。第二に、共働きで子どもを配偶者側の健康保険の扶養に入れている場合、あなたの履歴書では「0人」になることです。夫婦のどちらの扶養に入っているかは、子どもの健康保険証(資格確認書やマイナポータルの資格情報)でどちらの勤務先の保険か確認できます。
また、離婚して子どもと別居している場合でも、養育費を送っていて前述の「別居の家族」の条件(子どもの年収が仕送り額より少ない、など)を満たしていれば、扶養家族に数えられるケースがあります。家族構成が複雑で判断に迷う場合は、現在加入している健康保険の被扶養者として登録されている人数をそのまま書けば間違いありません。
5. 健康保険の扶養と税金の扶養の違い
「扶養」には2種類あり、これを混同すると人数を間違えます。履歴書で問われているのは原則として健康保険上の扶養ですが、違いを整理しておきましょう。
- 健康保険上の扶養(社会保険):年収130万円未満(条件により150万円・180万円未満)が基準。16歳未満の子どもも含む。履歴書はこちらで数える
- 税法上の扶養(扶養控除):年収123万円以下(給与収入の場合)が基準。16歳未満の子どもは扶養控除の対象外
例えば年収140万円のパート勤務の配偶者は、税法上の配偶者特別控除の対象にはなり得ますが、健康保険上は扶養に入れないため、履歴書の扶養義務は「無」です。逆に、小学生の子どもは税法上の扶養控除対象外ですが、履歴書の扶養家族数には含めます。
なお、いわゆる「年収の壁」の金額は制度改正で変わることがあります。2025年の税制改正では税法上の基準が103万円から123万円に引き上げられ、健康保険上も19歳以上23歳未満の家族について基準が130万円から150万円に緩和されました。厳密な判定が必要な場合は、加入している健康保険組合の基準を確認するのが確実です。
ちなみに、入社後の社会保険手続きでは「健康保険被扶養者(異動)届」を提出し、扶養家族の続柄や収入を証明する書類(所得証明書、在学証明書、仕送りの振込記録など)を求められることがあります。履歴書の記載と手続き時の申告が食い違うと確認の手間が発生するため、この段階で正確に把握しておくことが、結果的に入社後の自分を助けます。
6. よくある間違いと注意点Q&A
最後に、提出前に確認したいポイントをQ&A形式でまとめます。
Q1. 間違えて書いたら選考に影響する?
扶養家族欄の書き間違いで不採用になることはまずありません。ただし、入社手続きの際に正確な情報が必要になるため、内定後に総務・人事から確認が入ることがあります。故意でなくても訂正の手間をかけさせてしまうので、この記事のルールに沿って正確に書いておきましょう。提出前に気づいた場合は、修正液や二重線での訂正は避け、新しい用紙に書き直すのが履歴書全体のマナーです。
Q2. 空欄のままでもいい?
空欄は「記入漏れ」と受け取られるため避けましょう。独身で扶養家族がいない場合も「0人」と明記し、配偶者「無」・扶養義務「無」に丸をつけます。該当なし=空欄ではなく、0人と書くのが正解です。
Q3. 転職活動中に家族構成が変わりそうな場合は?
結婚や出産の予定があっても、履歴書には提出時点の状況を書きます。入社までに変わった場合は、入社手続きの際に申告すれば問題ありません。面接で伝える義務もありません。
Q4. 扶養家族が多いと不利になる?
家族手当や社会保険料の企業負担を理由に不利に扱うことは、厚生労働省の公正な採用選考の指針に反します。扶養家族数を理由にした採否の判断は本来あってはならないもので、実務上もこの欄で合否が動くことはほぼありません。少なく偽って書くほうが、入社後の手続きで矛盾が生じてマイナスです。
Q5. 欄自体がない履歴書を使ってもいい?
厚生労働省が2021年に示した履歴書の様式例には扶養家族欄が残っていますが、市販の履歴書やテンプレートには欄がないものもあります。応募先から指定がなければ、欄のない様式を使っても問題ありません。企業指定のフォーマットがある場合はそれに従いましょう。
Q6. 配偶者が失業中・育休中の場合は?
配偶者が退職して失業手当(基本手当)を受給している場合、日額3,612円以上(年収130万円を365日で割った額)を受け取っていると、受給期間中は健康保険の扶養に入れません。この場合、扶養義務は「無」と書きます。受給が終わって収入がなくなれば「有」に変わります。育児休業中の配偶者は、勤務先の社会保険に加入したままなので「無」のままです。
Q7. 同居している兄弟姉妹や祖父母は数える?
兄弟姉妹や祖父母も、年収130万円未満などの条件を満たし、主にあなたの収入で生活しているなら扶養家族に数えられます。兄弟姉妹と父母・祖父母は別居でも対象になりますが、義父母(配偶者の親)や叔父・叔母などは同居していることが条件です。単に同居しているだけで、本人に十分な収入がある家族は含めません。
関連記事:履歴書の本人希望欄〜書き方と注意点
7. 提出前チェックリスト
書き終えたら、提出前に次の6項目を確認しましょう。すべてチェックがつけば、扶養家族欄は完成です。
- □ 扶養家族数に配偶者を含めていないか
- □ 扶養家族がいない場合、空欄ではなく「0人」と明記したか
- □ 子どもを配偶者側の扶養に入れている場合、人数から除いたか
- □ 配偶者の扶養義務を「配偶者が自分の勤務先の保険に入っているか」で判断したか
- □ アルバイト収入のある子ども・年金収入のある親の年収基準(130万円・150万円・180万円)を確認したか
- □ 「有」「無」の丸つけ漏れがないか
特に多い間違いは「配偶者を人数に含める」「空欄のまま提出する」の2つです。この2点だけでも見直してから提出してください。
8. まとめ
この記事では、履歴書の扶養家族欄の書き方を解説しました。最後に要点を整理します。
- 扶養家族欄は健康保険上の被扶養者を基準に書く(年収130万円未満などが目安)
- 「扶養家族数」に配偶者は含めない
- 「配偶者の扶養義務」は、配偶者をあなたの健康保険の扶養に入れているなら「有」、配偶者が自分の勤務先の保険に入っているなら「無」
- 該当がなくても空欄にせず「0人」「無」と明記する
- 合否への影響は基本的にないため、正確に書くことを最優先にする
扶養家族欄は一度ルールを理解すれば迷わなくなります。学歴・職歴欄や本人希望欄など、他の欄の書き方もあわせて確認しておくと、履歴書全体の完成度が上がります。
『転職どうでしょう』では、転職に関する全般的なサポートをおこなっております。「履歴書の書き方に自信がない」「応募書類を添削してほしい」など、転職に関するお悩みがありましたら、お気軽に転職相談フォームからご相談ください。