1. 退職時に受け取る書類の全体像

 退職時に会社から受け取る書類は、大きく「退職日に受け取るもの」と「退職後に郵送で届くもの」に分かれます。まずは全体像を一覧で押さえておきましょう。

書類名主な用途受け取る時期の目安
雇用保険被保険者証転職先での雇用保険加入退職日〜退職後
年金手帳/基礎年金番号通知書年金の手続き退職日(会社預かりの場合)
源泉徴収票年末調整・確定申告退職後おおむね1ヶ月以内
離職票(1・2)失業保険(基本手当)の申請退職後10日〜2週間程度
退職証明書転職先の求めに応じて・国保加入等請求すれば発行

 このうち離職票と源泉徴収票は退職後の郵送になることが多く、受け取り忘れに気づきにくい書類です。退職前に「いつ・どの方法で送ってもらえるか」を人事担当者に確認しておくと安心です。近年は電子データで交付する会社も増えていますが、その場合もダウンロード期限があることが多いため、通知が来たら早めに保存しておきましょう。

1.1 退職時に会社へ返却するものも確認

 受け取る書類と合わせて、会社に返すものも整理しておきましょう。返却漏れがあると後日連絡が必要になり、円満退職の妨げになります。

  • 健康保険証(退職日で失効。扶養家族分も含めて返却)
  • 社員証・入館カード・名刺
  • 貸与品(PC・スマホ・制服・書籍・鍵など)
  • 通勤定期券(現物支給の場合)

1.2 退職前に確認しておきたいこと

 書類の受け取りをスムーズにするため、退職の1〜2週間前までに次の点を担当者と確認しておきましょう。退職後は連絡が取りづらくなることもあるため、在職中に段取りを済ませておくのが賢明です。

  • 各書類の発送予定時期(特に離職票・源泉徴収票)
  • 送付先の住所(引っ越し予定がある場合は新住所を伝える)
  • 離職票の要否(転職先が決まっていても念のため発行を依頼)
  • 担当者の連絡先(退職後に問い合わせる場合に備える)

2. 離職票|失業保険に必須の最重要書類

 離職票は、失業保険(雇用保険の基本手当)を受け取るためにハローワークへ提出する必須書類です。「離職票-1」(資格喪失の確認)と「離職票-2」(離職理由や賃金の記載)の2枚1組で発行されます。

2.1 離職票が届くまでの流れと期間

 離職票は退職日当日には受け取れません。会社がハローワークへ「離職証明書」を提出し、ハローワークが交付した離職票が会社経由で本人に郵送される流れのため、退職後おおむね10日〜2週間かかります。3週間以上経っても届かない場合は、まず会社に問い合わせましょう。

 離職票-1には資格喪失の情報とマイナンバー・振込先口座の記入欄が、離職票-2には過去6ヶ月分の賃金額と離職理由が記載されています。失業給付の金額は、この離職票-2に書かれた直近6ヶ月の給与総額をもとに計算されます。賃金額に明らかな誤りがあると受給額に影響するため、届いたら金額欄も確認しておくと安心です。

2.2 離職票が必要ないケース

 転職先がすでに決まっていて、間を空けずに入社する場合は、失業保険を受け取らないため離職票は基本的に不要です。ただし、入社日がずれる可能性や内定取り消しのリスクに備え、念のため発行を依頼しておくと安心です。退職時に「離職票は不要」と伝えていると、後から欲しくなった際に発行までさらに時間がかかります。

 関連記事:失業保険の受給条件や手続きの流れは転職と失業保険〜受給条件と手続きの流れで詳しく解説しています。

2.3 離職理由の記載は必ず確認する

 離職票-2には「離職理由」が記載されます。これは失業保険の受給条件を左右する重要な項目です。離職理由が「自己都合」か「会社都合」かで、給付が始まる時期や受給できる日数が大きく変わります。

 自己都合退職の場合は、申請後に原則2〜3ヶ月の給付制限期間があり、その間は基本手当を受け取れません。一方、会社都合(倒産・解雇など)や特定理由離職に該当すると、給付制限がなく、受給日数も手厚くなるのが一般的です。

 会社が記載した離職理由に事実と異なる点があれば、離職票-2の「離職者記入欄」に本人の主張を書いて異議を申し立てることができます。ハローワークが双方の主張をもとに最終判断するため、届いた離職票は記載内容をよく確認しましょう。

3. 雇用保険被保険者証|転職先で必要になる

 雇用保険被保険者証は、雇用保険に加入していたことを証明する書類です。転職先で雇用保険の加入手続きをする際に提出を求められます。会社が保管しているケースが多く、退職時に返却されます。

 被保険者番号は転職後も引き継がれる大切な番号です。紛失してもハローワークで再発行できますが、手続きの手間を省くため、受け取ったら他の重要書類とまとめて保管しておきましょう。

 なお、失業保険を受給する場合は、この雇用保険被保険者証ではなく前述の離職票を使います。両者は名前が似ていて混同しがちですが、「被保険者証=転職先での加入手続き用」「離職票=失業給付の申請用」と役割が異なる点を押さえておきましょう。転職先が決まっている人は被保険者証を、決まっていない人は離職票を特に忘れずに受け取ってください。

4. 源泉徴収票|年末調整・確定申告に使う

 源泉徴収票は、その年に会社から支払われた給与総額と、天引きされた所得税額が記載された書類です。転職先での年末調整、または自分で行う確定申告に必要になります。

4.1 いつ受け取れるか

 源泉徴収票は、最後の給与額が確定してから発行されるため、退職後おおむね1ヶ月以内に郵送されるのが一般的です。年内に転職先へ入社する場合は、この源泉徴収票を新しい会社に提出することで、前職分と合算して年末調整をしてもらえます。

4.2 年内に転職しない場合は確定申告が必要

 退職後に年をまたいで無職期間がある場合や、フリーランスになる場合は、翌年に自分で確定申告を行います。払い過ぎた所得税が還付されるケースも多いため、源泉徴収票は必ず保管しておきましょう。

 たとえば、9月末に退職して12月に再就職した場合、前職の源泉徴収票を新しい会社に提出すれば、1〜9月分と10〜12月分を合算して年末調整してもらえます。逆に、9月末に退職してその年は再就職しなかった場合は、翌年の2〜3月に自分で確定申告をすることで、在職中に多めに天引きされていた所得税の一部が戻ってくることがあります。「その年のうちに再就職したかどうか」で手続きが分かれると覚えておくとよいでしょう。

 なお、源泉徴収票は転職先への提出用と自分の保管用で複数枚必要になることもあります。原本は基本的に1枚のため、再発行が必要な場合も会社に依頼できます。

 関連記事:手続きの詳細は転職時の確定申告|年末調整との違いと手続きをご覧ください。

5. 年金手帳・基礎年金番号通知書

 年金に関する書類は、会社が預かっている場合と本人が保管している場合があります。会社が預かっていた場合は退職時に返却されるので、忘れずに受け取りましょう。

 なお、2022年4月以降、年金手帳の新規発行は廃止され、代わりに「基礎年金番号通知書」が使われています。どちらも基礎年金番号を確認するための書類で、転職先での手続きや、国民年金に切り替える際に必要です。

 退職後すぐに転職しない期間がある場合は、国民年金への切り替え手続き(原則14日以内)が必要です。手続きの詳細は自治体や年金事務所で確認しましょう。

5.1 無職期間がある場合に必要な切り替え手続き

 退職から次の入社まで日が空く場合、年金と健康保険の両方を自分で切り替える必要があります。退職翌日から次の加入までの間、無保険・未加入の状態を作らないことが大切です。

手続き切替先期限の目安
年金国民年金(第1号被保険者)退職日の翌日から14日以内
健康保険任意継続/国民健康保険/家族の扶養おおむね14日〜20日以内

 健康保険は「前職の健康保険を任意継続する」「国民健康保険に加入する」「家族の扶養に入る」の3択があり、保険料が変わります。どれが得かは前年の収入や家族構成で異なるため、退職前におおよその保険料を比較しておくと安心です。

6. 退職証明書|必要なときに請求する

 退職証明書は、退職した事実や在職期間、役職などを会社が証明する書類です。法律上、本人が請求すれば会社は発行する義務があります(労働基準法第22条)。

 主に次のような場面で使います。

  • 転職先から提出を求められたとき(離職票の代わりになることも)
  • 国民健康保険に加入する際、退職日の証明として
  • 家族の扶養に入る手続きで必要なとき
  • 失業給付の申請で、離職票が間に合わないときの補足資料として

 なお、退職証明書と似た書類に「在職証明書」がありますが、こちらは在籍中の事実を証明するもので用途が異なります。退職後の各種手続きで求められるのは退職証明書ですので、依頼するときは名称を間違えないようにしましょう。

 自動的には発行されないため、必要な場合は退職時または退職後に会社へ依頼します。記載してほしい項目(在職期間・業務内容・退職理由など)を指定できます。逆に、記載してほしくない項目は請求者の意思で除外できるため、伝えたくない情報を無理に載せられることはありません。

 特に、離職票の到着を待たずに国民健康保険へ加入したいときや、転職先から在職期間の証明を早く求められたときに役立ちます。離職票が届くまで2週間ほどかかるのに対し、退職証明書は依頼すれば比較的早く発行してもらえるため、急ぎの手続きがある場合の代替書類として覚えておくとよいでしょう。

7. 書類が届かない・もらえないときの対処法

 「離職票がなかなか届かない」「源泉徴収票をもらえない」といったトラブルは実際に起こります。慌てず段階的に対応しましょう。

7.1 まずは会社に問い合わせる

 多くは手続きの遅れや郵送忘れが原因です。退職後2〜3週間経っても届かない場合は、人事・総務の担当者に「いつ発送されるか」を確認しましょう。感情的にならず、事実を確認する姿勢で連絡するのがポイントです。

 問い合わせの際は、「◯月◯日に退職した△△です。離職票の発送予定を確認したくご連絡しました」と、退職日・氏名・確認したい書類を簡潔に伝えると話が早く進みます。電話がつながりにくい場合はメールで記録を残しておくと、後々の証拠にもなります。

7.2 公的機関に相談する

 会社に依頼しても対応してもらえない場合は、公的機関に相談できます。

  • 離職票が出ない:管轄のハローワークに相談。会社に督促してもらえます
  • 源泉徴収票が出ない:税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出すると、税務署から会社へ指導が入ります

7.3 退職前にやっておく予防策

  • 退職前に書類の送付先住所と発送予定時期を担当者に確認する
  • 担当者の連絡先(メール・電話)を控えておく
  • 受け取るべき書類をチェックリスト化し、届いたら消し込む

8. まとめ|退職書類チェックリスト

 退職時に受け取る書類は、失業保険・転職先での手続き・確定申告のいずれにも直結する重要なものです。最後にチェックリストで振り返りましょう。

  • 雇用保険被保険者証(転職先の雇用保険加入に必要)
  • 年金手帳/基礎年金番号通知書(会社預かりの場合は返却を受ける)
  • 源泉徴収票(退職後1ヶ月以内・年末調整/確定申告に必要)
  • 離職票-1/離職票-2(退職後10日〜2週間・失業保険に必須)
  • 退職証明書(必要な場合は請求する)
  • ☐ 会社への返却物(健康保険証・社員証・貸与品)を済ませたか

 届く時期に差があるため、退職直後の1ヶ月は「何がまだ届いていないか」を意識しておくと安心です。特に離職票と源泉徴収票は郵送で後日届くうえ、失業給付や税金の還付といったお金に直結します。カレンダーやスマホのリマインダーに「退職から2週間後:離職票が届いたか確認」「退職から1ヶ月後:源泉徴収票が届いたか確認」とメモしておくと、受け取り忘れを防げます。

 書類が揃えば、失業給付の申請も転職先での手続きもスムーズに進みます。退職は手続きが多くて煩雑に感じますが、受け取る書類さえ押さえておけば、次のスタートに集中できます。

 『転職どうでしょう』では、転職に関する全般的なサポートをおこなっております。「退職の進め方が不安」「次の入社まで何を準備すればいいか分からない」など、転職に関するお悩みがありましたら、お気軽に転職相談フォームからご相談ください。